【論文】二酸化炭素:急増する中国とピークアウトした日米欧
エジプトのシャルム・エル・シェイクで、2022年11月6日から11月20日まで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)は、閉会予定を48時間も超過する長丁場の交渉を行った。交渉の焦点は、二酸化炭素(CO 2)排出量の責任問題であった。とくに累積排出量でトップのアメリカと、現在の排出量でトップの中国の存在が目立った。CO 2をはじめとする温室効果ガスは、長期にわたって残存する。そのため、気候変動の責任について考える際は、歴史をさかのぼって累積の排出量を考慮しなくてはならない。
CO2の累積排出量ではアメリカが群を抜く最大の排出国であり、EU及びイギリスと合わせれば、全排出量の46%を占める。欧米は化石燃料をエネルギーとして数世紀にわたり経済成長を謳歌してきた。他方、中国を始めとする途上国は、急速な経済成長を実現し、CO2の排出を急拡大している。こうした複雑な構図は、CO2削減における国際的な議論と合意を困難にしている。
本論はこうした地球規模のCO2排出構図を、産業革命以来のデータを用いて解明する…
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